<こどもの日イベント>福山ゆりミニ講話・ユダヤ人の家庭教育から学ぶ「男の子の育て方」①
下記は5月12日に行われたこどもの日イベントでの
福山ゆり代表による講話文字起こしです。
次回は7月7日“夫婦を題材としたオンライン・イベントを開催予定です!
沢山のご参加をお待ちしております。
ユダヤ人の家庭教育から学ぶ「男の子の育て方」
第1のポイント: 育児観の一致、性別による役割分担と共同育児
皆さん、こんにちは。本日は「子どもの日イベント」として、「ユダヤ人家庭から学ぶ男の子の育て方」について、5つのポイントに分けてお話ししたいと思います。
まず最初に、ユダヤ人家庭がどのような文化的価値観のもとで子育てをしているのかをご紹介したいと思います。その背景を理解していただくために、「ユダヤ人家庭の在り方」について簡単に触れていきます。
私は13年前に子どもを産みましたが、育児において最も大切なことは何かと考えたとき、「両親の育児に対する価値観が一致していること」が最も重要だという結論に至りました。
この「ハブルータ」を通じてユダヤ人の家庭を学んでいく中で、彼らが「家庭」に非常に強い愛着を持っていることを感じました。なぜならユダヤ人は、2000年もの間、国家を持たずに生きてきた民族だからです。国がなかった分、「家庭」が自分たちの拠り所であり、信じられる場所だったのです。
子どもを育てるにあたっても、親が責任を持ち、神に選ばれた民族としての「選民教育」「信仰教育」を家庭で実践しなければならない、という強い自覚を持っていたのです。ユダヤ人にとって家庭は、神の神殿そのものであり、神とつながる場でもあるのです。
このような共通の目標を夫婦で持ち、お父さんとお母さんがそれぞれ補い合う役割を果たすことが、非常に大切だとされています。
ユダヤ人はよく、父親は「頭」、母親は「首」と表現します。首が頭の向きを決めるように、母親の役割は本当に重要です。母親がどのように専門教育を施し、父親についてどのように語るかによって、子どもの価値観も大きく左右されます。
ここでの最初のポイントは、性別による役割分担=ジェンダーロールを明確に持っていることです。これは家庭教育において非常に重要な視点です。
父親は論理性や理性を重視する存在として、ハブルータを通じて知的刺激を与えます。一方で母親は、感性豊かで犠牲精神を持ち、情緒的なサポートを担います。このように、IQとEQの両面をバランスよく育てるために、それぞれの性質に合った役割分担がなされています。
このことから学べるのは、「母親一人で育児を抱え込むのではなく、夫婦で共通の哲学を持ち、育児に取り組むことが大切である」ということです。
第2のポイント:ハブルータを通じた思考力と対話力の育成
第2のポイントとして、「ハブルータ」の教育についてお話しします。
先ほど、父親がハブルータ(対話・討論による学習)を担うというお話をしましたが、実際には父親だけでなく、母親も日常生活の中で信仰教育を担っていく役割を果たしています。ユダヤ人家庭では、常に「質問・問いかけ」を通して子どもに思考を促していく文化が根付いています。
質問と討論を通じて、子どもは知的好奇心と論理的思考力を養っていきます。
ユダヤ人の親たちは、子どもに「これは何?」「なぜ空は青いの?」「どうして海の水はしょっぱいの?」といった問いかけをする時期を大切にします。
そしてその問いに対して、すぐに答えを与えません。
「あなたはどう思う?」「あなたの考えを聞かせて」と促すのです。
こんな格言があります。
「親切な親はすぐに答えを与えるが、偉大な親は質問を与える。」
このように、「質問」はユダヤ人家庭において、空気のように当たり前に存在しているものであり、その中心にあるのが「ハブルータ」です。
ハブルータとは、もともとタルムードや旧約聖書を学ぶための手段として発展した教育手法です。内容が非常に難解なため、幼い頃から質問を投げかけ、討論を通じて自らの言葉で理解し、内面化していく必要があったのです。
旧約聖書とタルムードの学びは、ユダヤ人にとって一生を通じて続くものです。学ぶ目的はただ暗記することではなく、「神に選ばれた民族」として、いかに神の言葉を実生活の中で実践するかにあります。
だからこそ、質問と討論を中心とした教育が発達したのです。
本来は信仰教育の一環として用いられてきたハブルータですが、今では世界各地、特に韓国などでも注目されている理由は、「質問を通じて子どもの力を引き出す教育」だからです。
実際にハブルータを体験すると、自分では思いもよらなかった視点に気づかされたり、相手の答えから新しい創造が生まれる経験をされると思います。
このように、ハブルータは創造性・論理力・社会性・精神性など、現代に必要とされる力を育む教育法として、今こそ再評価されているのです。
私たちはユダヤ人ではないので、タルムードそのものを深く学ぶ必要はありませんが、まずは家庭内での「質問・問いかけ」から始めてみるのが良いと思います。
「あなたはどう思う?」「お母さんはこう考えるけど、お父さんはどうかな?」
こんなふうに家庭内で質問のある会話を重ねていくことが、ハブルータ的な環境を家庭に取り入れていく第一歩になります。